違和感と希望と~24年度入試総括~

3月3日の都立高校合格発表をもって、進学塾Uineの入試がすべて終了した。例年だと高校入試の結果をもって「総括」を書くのだが、今年は書くのを止めようかと、さっきまで思っていた。その理由は煎じ詰めていえば、昨年に続き、私の中にある種の居心地の悪さがある入試過程だったからだ。生徒との距離感の近い、多くの時間を共有して行う密接/密着指導というスタイルが、表向きさしたる変化はないように見えながらも、どこか変容してきているという感覚。その要因を探しながら今日を迎え、それは生徒と私の両方にあるような感覚は得られているが、自身の問題として考えたときの深刻さをなかなか引き受けられないでいる。

せっかく入試が終わったのになんだか暗い書き口だが(苦笑)、ともあれ今日から新年度もスタートした。今日からともに勉強する生徒も何名もいて、そこで感じた新たな生徒との出会いの喜びが、重い筆を上げるきっかけとなったという次第。喜べる自分に安堵しつつ、高校入試、そして大学入試を振り返ってみたい。

中1から在籍が少なく、こぢんまりとしたクラス運営だった今年の中3だが、中3になるのと前後してドドッと入塾が続いた。同じ中学の紹介が連鎖した形だった。通常、残り1年弱でやれることがどれだけあるか不安が大きいのだが、頑張るという言葉を信じてお引き受けする。この点、昔は指導期間の短さと現状の学力を鑑みてお断りすることも結構多かったのだが、今は自身の心境が「せっかく頼っていただくことのご縁を大切にしよう」に変化してきており、なるべくならお引き受けする形になっている。そういう形で中3クラスの運営が進むこととなった。

ただやはり同じ中学の顔見知りが多いことが主要因となって、どこか浮ついた雰囲気ができあがる。ルールの徹底がなかなか行き渡らず、小トラブルも重ねて起こり、退塾も出た。一番きつかったのは、中3生として動いていく雰囲気が、一部を除いてほとんど生まれなかったことだ。決められた演習、テストの遂行、自習への動き、声がけ、指導に対する反応、どれも乏しく自身の指導力を疑う日もあった。秋が深まっても、コートを着る時期になっても、その流れは変わらなかった。

過去問演習を始めると、もうほとんどが壊滅的(苦笑)。目標総合得点に200点足りないとか、志望校再考どころの話ではない生徒が続出する。2年分、3年分やってもあまり変わらない。偏差値との乖離が甚だしく(偏差値はもう少しまし)、基軸が見えない。

最後の1ヶ月の指導は(あまり好きではない)「力業」を入れて得点増をねらい(願い?)、それがやっとはまった感。最後1,2年の過去問は目標まであと少しのところに上がった生徒が多かった。もちろん足りてない生徒も複数いたが。

本番、過去最高得点を取った生徒が何人もでた。過去問演習より下がった生徒もいたが微減レベル。これも自身の混乱の要因となった。あれもこれもやれてない、でも力業をぶっこめば上がるのか?いや、やっても上がらなかった年もある。どこに要因があるのか?正直まだ見え切らない。ただ結果として、都立高校を第一志望とした生徒は全員合格だった。全員合格なのだから喜んでもいいのだろうが、私のもっていき方のつたなさ、それによる過程のまずさ、何より消えない違和感が、嬉しさを消してしまう。ただ、大切なお子さんをお預かりした責任は合格という形で果たせたのだろうと、少しだけ胸をなで下ろしている。

生徒達の立場に立つと、慮ってあげなければいけない要件がいくつもある。子供と接する仕事をしている人は誰でも感じているであろうが、現在の子供たちはどこかしらの年齢でコロナ対策禍の悪影響を受けている。それにより身につけるべき「あれこれ」が間違いなく欠落している。そのような子供たちに私が強く「変わっていこう」のメッセージを発しても、何をどうしていいのか分からないのかもしれない。分かっていても、体が動かないのかもしれない。そういう形で今年の中3生を理解すれば、年間を通してよく頑張ったとも言えるのだ。私は生徒達をもっと褒めてあげなければいけないのかもしれない(もちろん一人ひとりは色んな局面で褒めています。念のため笑)

絶対書かなければいけないことが1つある。中3には学年トップの生徒が2人在籍していて、当然この2人は言われたことを言われた以上にやってきた。自習も私が大切にしている形できっちりこなし、高い偏差値に油断することなく努力を重ね、ともに第一志望に合格した。本当によかったと思う。とともに、思うようにいかないクラス運営に説教基調が多かったことを本当に申し訳なく思う。別の意味での疎外感があったろう。2人は選択制のハイレベル講座も受講してくれていたので、そこでは思いっきり知的好奇心を揺さぶる授業を心がけ刺激を与えられるようにしたが、少しは挽回できていただろうか。

大学受験にも少し触れよう。高3生は今年は4名しか在籍がおらず、おまけに3名は総合型選抜と推薦で決まってしまったので、一般入試は1名のみ。文字通りの孤軍奮闘だった。自習室に詰めてひたすら頑張るといううちのスタイルでは、やはり空間の空気感、皆が同じ方向を向いて努力する雰囲気が重要だ。受験はチームプレイという言い方もあるが、そういう意味では一般入試に臨んだ生徒にとって何か欠落した状況であったことは否めない。致し方ないことではあるが、塾としては申し訳ない思いだった。

ただ当該生徒、これまでの指導歴でもトップレベルの暗記力、国語力、そしてなにより知識欲をもっていた(めっちゃ博識)。特に暗記力という勉強に不可欠の力を考える際、彼女のあり方が示唆してくれたことも多い(何かの機会に書いてみたい)。直前まで自習室に詰め、一人きりになっても朝9時から夜10時まで、毎日黙々と演習を重ねた(日曜日だけは大河ドラマを見るため19時30分に帰宅していた。大河の視聴も彼女の博識要因の一つだった)。

結果無事に第一志望の早稲田大学の商学部に合格したのだが、実は彼女に弱点があるとしたら決定的な1点があり、入試本番でのウィークポイントがあるとすればそこだった(詳細はここでは伏せる。彼女には受験が終わるまで言わなかった)。途中ややその影響を感じつつも大団円といえる入試となって、私もなんとか責任を果たせた思いを抱いている。私はその要件を分かった上で最低限の対策に留めたのだが、その判断は当然私によるものであり、それによって第一志望合格がならなければ私の責任だと思っていた。その意味で嬉しさよりもほっとした気持ちが大きい。

これだけ頑張った姿は必ず後輩達の手本となってくれる。当然のごとく進学塾Uineの非常勤講師にスカウト。快諾を得たのでそろそろ研修開始である。

高校入試も大学入試も、進学塾Uineが大事にしている学習スタイルを体現し、入試を乗り切ってくれた生徒がきちんといて、その意味ではいつも通りの入試だったと言えるのかもしれない。ただ一方で冒頭に書いた違和感は、私の感性の鈍磨によるのか、それともそれ以外の要因なのか。色々と考えつつもまた新たに走り出さなければならない。新たな出会いへの感謝と喜びがあるならまだ塾講師としてやっていけるかと、少しだけ自身に安堵しながら、精一杯やらなければの思いを胸に抱いている。

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