今春、国際基督教大学【ICU】に合格したCさんの合格体験記を紹介したい。Cさんは小4の終わりから高3まで在籍してくれた進学塾Uineの”古株”であり、受験においては地元区立中から都立戸山高校そしてICU合格と、一見絵に描いたような「成功ルート」に見えるかもしれない。しかしその実は、自分に厳しいストイックさと純粋さにより、誰よりも多く傷つき、苦しんだ、茨の勉強ルートと言っても過言ではない道のりだった。
Cさんは高1の時に一旦退塾したのが、それは私がその苦しみや傷つきやすさを、理解しているつもりで理解していなかった意思疎通の齟齬からきており、痛恨の事態であった。しばらくして戻ってきてくれたときは、なんとかしてこの生徒に寄り添い、励まし、大学受験までともに歩もうと決意したことを覚えている。
以下の体験記、私の添削的な筆入れはほとんどない。読んでいただければCさんの人柄とその歩みがお分かりいただけると思う。
私が進学塾Uineに入塾したのは、小学校4年の終わりでした。都立中受験をしたいから塾に入りたいと親に伝えたことがきっかけです。そこで姉が通っていた進学塾Uineに入塾しました。でも、小学生の頃の私は本当に勉強ができませんでした。よく補習に呼ばれたり、余り考えずに解答して先生に「クイズやってんじゃねえから」と何度言われたか分かりません(笑)
私が真剣に勉強をするようになったきっかけは、都立中受験で不合格になったことだと思っています。今考えれば、不合格になっても仕方のないくらいの少ない勉強量でしたが、当時の私は「不合格」の3文字にこの上ない悔しさを感じ、高校はこの学校よりも上のレベルに入ると決めたことを覚えています。
中学1年の夏、大好きな先輩と同じ戸山高校に進学すると決めた時から、とにかく勉強に手を抜かなくなりました。部活が忙しく、周りと比べて勉強時間を確保できなかった分、睡眠時間を削って必死に勉強をし、細川先生に言われたやり方を忠実に実行して、学年トップの成績を取れるようになりました。中3の初めは、コロナによる休校だったため、13〜14時間勉強をするのが当たり前でした。
しかし、いくら勉強をしても自信を持てず、不安で勉強をやる気がなくなってしまった時期もあります。また、あまりに高すぎる目標に対してどう動いたら近づけるのかが分からなくなったり、心が完全に折れたりした時期もありました。それでも塾での勉強を止めずに努力し続けた結果、戸山高校に合格できたのだと思います。
高校入学後は、中1の頃から思い描いていた「医学部に進学する」という目標に対して、ほぼ全てを犠牲にして学生生活を送りました。医学部進学のためを考え、高校1年生の時に一旦Uineを辞めて予備校に入りましたが、高校の勉強と予備校の勉強に対処することができず潰れてしまい、細川先生にお願いしてもう1度Uineで勉強することになりました。
大学受験を本腰入れて勉強を始めたのは、高校2年の夏休みごろです。そこからは自習室にほぼ毎日通い始めました。ただ、勉強に本腰を入れ始めると同時に、自分自身がどの進路に進みたいのか分からなくなりました。医学部を目指して色々なことを犠牲にしてきたという思いもあって、その時は進路を変えるという勇気もなく、とりあえず勉強をする日々でした。でも、そうやって勉強をしていても学校の授業についていくことに精一杯で、なかなか結果を出すことができず、精神的にも追い詰められていく一方でした。中学の頃のようにがむしゃらに勉強するほどの体力もなく、もっと勉強をしなきゃいけない、でもこれ以上はできないという理想と現実とのギャップを感じ、どんどん苦しくなっていきました。
高3に上がる頃には、完全に精神的に参ってしまい、ご飯が喉を通らない日や、眠れない日が続きました。医学部は入学後もずっと勉強に追われる生活が続くという現実を知ったとき、直感的に「えっ」と思ってしまった自分がいて、本当に医学部に行って医者になりたいのか、自分が分からなくなり迷走しはじめました。勉強につまづくたび、先のビジョンが全く見えなる感覚に陥り、自分の中で心の持ち方的に、このままでは勉強を続けられないと思うようにもなってしまいました。本当にいろいろと悩んだのですが、しばらくして医学部受験を断念し、進路を変更することに決めました。
ICUを志望することに決めたのは8月です。自分の中で、医学部という方向性でないならばUNICEF(国連)で働きたいという気持ちがあり、国連で働くとしてもそうしたグローバルな環境に通用するような力をつけるにはどの大学で学ぶのがよいのだろう考えた時、ふと考えついたのが高校受験の前に文化祭に行っていたICUでした。受験科目を調べたら理系受験ができると知り、これまでの勉強も受験に活かせると分かったのでICUを第一志望にすることに決めました。
それからは、英語の対策を強化するとともに化学の未完成分野を強化していく作業に追われました。数学を授業以外でやる余裕はほぼなかったと思います。一般的なイメージ通り、ICUの試験は英語が大変です。過去問演習を始めた当初、リーディングは量が多く、リスニングは速い上に長くて全くと言っていいほど聞き取れず、得点率は3割弱くらいしかありませんでした。そこで、毎日過去問の音読をして速読を鍛えたり、音源を2倍速にしてシャドーイングをしたりすることでICUの試験に対応できるようにしていました。 そうした努力が少しずつ実を結び、受験近くになって手応えも得られるようになってきました。
私はとても不器用な人間なので、学習内容を習得するまでの時間は人一倍長く、自分に自信もないので、すぐに精神的に不安定になってしまうことも多いです。それでも、中学の頃も、高校3年間も、不器用なりにも、気持ちの浮き沈みと闘いながら、つまずきながらではありますが、自分なりに最大限、努力してきたつもりでいます。6年前は、私なんかが戸山高校に入れるなんて、夢のまた夢だと思っていたし、こんなに勉強が好きになれるなんて思ってもいませんでした。私がこんなに勉強を好きになれたのは細川先生がいてくれたからです。本当にありがとうございました。