試験勉強会あるいは感応する力

二期制の墨田区は多く今月中旬に後期中間テストを迎える。中3生はこのテストをもって内申が決定するので大切なテストだ。もちろん、中1にとってはそろそろ固まり始める勉強方法と結果に対して意識的に臨むべきテストだし、中2は夏前後から一気に難しくなった英語(不定詞、接続詞など)と数学(一次関数、証明)への対応が問われるという意味で、これまた重要なテストだ。どの学年もそれぞれの目的があり、その意識・動機づけは我々の重要な役目である。

進学塾Uineでは定期テスト前の約2週間はテスト勉強演習に切り替え、週末は試験勉強会を行う。小さな教室なので3学年揃って朝から晩までとはいかないが、塾としてできるだけ長時間の学習時間を確保しテストの臨んでもらうというのがその主旨だ。

塾が半ば強制的に生徒達を集めて自習させることには賛否両論あるが、私は地元の子供たちの学習特性や進学塾Uineの生徒層に鑑みてという条件のもと、肯定の立場だ。考えや立場はそれぞれあっていいし、その方針が生徒の利益になる(学力向上)のなら何をやってもいい。

「地元の子供たちの学習特性と進学塾Uineの生徒層」というのは、「言わないと手を抜く」という標準的な中学生像であり、また上位から中位~と幅広く在籍するという、これまた標準的な塾のありかただ。こういう塾、とくに幅広い成績層が在籍する塾ほど、試験勉強会のような学習機会をもつことは有効だと考えている。

以前勤務していた塾は方針として勉強会のようなものはやらないことになっていた。定期テスト前は約1週間前から授業をストップして自習に切り替えたが、成績上位層は欠席して自宅で試験勉強をするものも多かった。放課後自習に来る生徒もまばら、来ても教室で友達同士おしゃべりをしていて注意されたりする。

できる生徒はできるができない生徒はできないまま、というのは絶対に避けたいというのが自分で塾を立ち上げた時の思いだった。試験勉強会もまた、そういう理念を実現するために不可欠なものであるというのが私の位置づけだ。全塾(うちは小さいけど笑)が一つになって目標に邁進するというのが個人塾の強みであり無二の個性となり得る。

皆で休日に塾に集い、試験勉強を行う。隣にはモリモリ勉強する学年1位の生徒もいれば、どこか集中しきれず、また勉強の方法が身につかず、悪戦苦闘する生徒がいる。

コソコソおしゃべりをしたりボヤッとしていることは許されない。それは教室責任者が厳に戒める。できるできないに関わらず、みな懸命に努力する形を整える。

やる気は伝播する。一所懸命の姿勢は周囲に波及していく。まだまだやわらかく柔軟な頭と姿勢をもった中学生は、強い感応力をもっているものだ。環境が整えば、触発されて第一歩が駆動し始める者が本当に多い。

こういう形を実現したくて始めた試験勉強会だが、一応目標は達成できつつあるのではないかと思っている。始めた当初は私語や勉強姿勢を注意することも多かったが、いまはほぼない。生徒達はそれぞれに感応し合って目標に向かえるようになっている。新学年や新入塾生は先輩が勉強する姿を見てそれに倣っていく。

こういう方針は多分に「できる生徒を見倣わせる」という、中位~の生徒のためのものになるが、私はそれでいいと思っている。上位層を無視しているわけではないし、5教科450点以上とっている生徒もそういう塾の方針のもとに今の自分を成し遂げた。自分だけできればいいという意識は進学塾Uineにはそぐわないし、そもそもそういう生徒は1人もいない。

試験勉強会と言っても、教室を開けたらあとは勝手に自習やって、みたいな無責任なことはやらない。必要な対策テスト(定期テスト過去問ではない)、対策授業はしっかり行う。我々は朝から晩まで教室に詰め、テスト管理を行い、質問対応にかけずり回る。なかなか大変だ。

こうした試験勉強会はすでに進学塾Uineのアイデンティティの1つだ。今も教室にはペンを動かす音と、生徒達の熱意が充満している。私は生徒達の感応力を信じているし、これからも信じ続けたい。

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